ポエムを詠むことの重大さはあると思いたい

ブログなんて、と中学生の頃を思い出すようなドキドキ感があるのはなんだろう、恥ずかしさなのか、単純なときめきなのか。

 

自分の中のものをどうにかして形にして他人に見えるところまでもっていく作業を近頃まったくしていなくて、かといって吐き出さなければならないほど皮膚の内側に渦巻く何かがあるわけでもないので。

表現したいという簡単でひとかけら程度のみの焦燥感と、自分だけの世界が広がってさも宇宙です、みたいな顔で拡大していくそれをみつめるだけの満足感だけは偉そうにあるもんだから、変に困ってしまう。

 

わたしには学生時代から仲のいい女友達がいまして。彼女はまさしく❝恋❞や❝愛❞に生きている女の子なんですけどね。

もう数年の付き合いになるんですが、まぁいろいろなお相手とのいざこざやさほど聞きたくもない夜のお話まで、たくさん聞かされてきました。

耳年増ってこういうことかなぁ…なんて思うほどにはたくさん。

 

一番びっくりした、というかおったまげた話をさせてください。

彼女はいくら男心を弄べるだけのテクニックとかわいさを持ち合わせているからといって、一度に数人同時にお付き合いをするという不誠実なことはしてこなかったんです。

知っている限りの話でですが。

まあね、そんな彼女がとうとう今年の初めに、それまでしていた仕事を辞め、繋ぎとして働き始めたアルバイト先で出会った一つ上の、長身で心底優しい男の子になびいてしまったんですよ。

とうとうと言ってしまったからにはバレてしまっていると思いますが、彼女には五歳年上の彼氏がいました。ちなみにその方は短身。ちなみにね。

 

一か月ほどの同時進行を経て、さらにはわたしを含めた友人二名からの助言という名の手厳しい言葉を投げつけられ、きちんとお別れをしたうえで心優しい長身の彼と付き合っているのが今のお話。

 

彼女は言いました。

「やっぱりいつ会っても褒めてくれて、自分のことを全肯定してくれる人は楽」と。

 

あのね、ごめんね。そのセリフ、どの恋愛が始まる前も聞いてきたよ……。

 

 

かくいうわたしはかれこれ五年は恋人と呼べるような人はいません。

ここまでくると、どうやって恋愛って始まるんだ……!?という混乱が襲います。定期的に。

 

恋人に求めるものがなにかなんて、人それぞれでいいと思いますし、それを他人がとやかく言える立場にあると自惚れて進言するのもよくないことだと思うので、彼女には倫理観のお勉強はしてもらうとして、それはそれ、毎日楽しくやっているならまあいいんじゃないかなと思います。

 

でまぁ、言いたいことはそこではなく、一度に数人も好きな人が出来るってすごいなって、思ったんですよ。

ひとり身の人間がなにか言い出したぞとか言わないでください。お暇なら聞いてってくださいよ。

 

卵焼きやカレーがご家庭によって味が違うように、生まれ元の人間が違うのだから、もちろんすべてが違うわけですよ。

人間誰一人として同じ人はいないって?わかります、おっしゃる通り。

でもね、恋愛って自分が一番嫌いで醜いところまでさらさないといけないじゃないですか。

同じ親から生まれてきょうだいとして血を分け合っている存在とだって、分かり合えることはない。

そりゃ、同じ屋根の下に住んで莫大な時間を共にしているからこそわかる部分というのはあります。あるけれど、根本的なところで、完璧に分かり合えるなんてことは絶対にないんです。

 

昔お付き合いしていた人に言われたことで、自分でもびっくりするくらい怒ってしまったことがあります。

これからあなたのことを理解していきたいと思ってる、とか、そんなような言葉だったと思います。

なんせこんなに怒ることがあるのか、という驚きがあまりに大きくて、その発端である言葉は頭からすっぽり抜けてるんですよね。

人間の頭って不思議。

 

理解したい、なんて今思うとなんて優しい言葉なんだろうって思います。

最大限の歩み寄りだし、冷たくなんてちっともないし、綺麗だと今なら思います。

だけど当時のわたしは違ったようで、おそらくワンクッションとして「お前の友達よりも」とついてしまっていたのがダメだったんでしょうね。

わたしは怒ってしまって、結局そんな言葉をくれた人を遠ざけて嫌いになってしまった。

あなたよりも付き合いがある友達よりわたしを理解できると思っていることが憎たらしい。そう、エピソードとともに友達にもらしました。

馬鹿にされたようにも感じていたと思います。

これまでわたし慎重に選んで、丁寧に培ってきた友達との関係を、簡単に一言で収められてしまったようで心底嫌でした。

 

誰かの琴線がどこに張っているかなんてわからないし、逆鱗はどこにあるのかも、わかるものじゃありません。

目に見えない気持ちとかいうややこしくて、しちめんどくさいものがあるばっかりに、人間同士って簡単にはなれないんですよね。

 

少し話は戻って例の彼女の話になりますが、いくつもの話を彼女から聞いてきたわたしはいつも思います。

恋愛って疲れるのに、なんでそうも好き好んで種を蒔いて、丁寧に世話して、育てて愛でるのかって。

 

そこにはわたしの知らないものがあるんだろうなと思ってしまいます。

わたしは本当に人を信用しないし、すぐに拒否してしまうがために損をしているのかなと、そこまで思うほどに、彼女の話す恋のお話は魅力的なんですよ。

 

なんでもない話です。

マグカップを買いに行ったら謎に蓋つきがいいとか言い出してダサいのを選んできただとか、寝ていたら寝返りついでに肘で顔を攻撃されて鼻血が出ただとか、指輪をプレゼントしたいって言われたけどまだ付き合って数か月なのに早いしと思ったけど挙げてるブランドが本気すぎて思わず正座した、だとか。

 

匂いを嗅ぐと安心するんですって。

抱きしめ方を覚えているから、力が強いときは寂しがらせちゃったかなって反省するんですって。

わき腹が弱いからいたずらでつつくけど、最近は本気で怒ってくるからやめられないんですって。

 

聞いてるときはあーはいはい、わかったわかった、と話半分でしか聞いてないんですけど、恋って本当に人を成長させるし、ダメにもするし、なんだったら脳のストレージ増えた?(逆に減った?)なんて思ってしまいますね。

 

人間は恋をするために生まれてきたって、最近のJ‐POPは歌ってますけど、それが過半数の人間には必ず響くんですから、きっと間違いではないんだろうなって思います。

わたしがそんな恋をするのはいつのことやらですが。

 

要するに、『そして恋をした人間はすぐにポエムを詠みだす!』

その状態のときはトランスバフにかかっているので、嫌煙せずに温かく見守りましょうね。

全わたしに対しての標語です。

 

次はもう少し賢い内容をかけたらいいなと思うので、今夜はからあげを食べます。

しゅうでした。